日本をダメにする税金のカラクリ 日経ビジネス人文庫
日本をダメにする税金のカラクリ 日経ビジネス人文庫
平野 拓也

定価: ¥ 630
人気ランキング: 106,453位
おすすめ度:
発売日: 2003-12-02
発売元: 日本経済新聞社
からくりというほどでは...
著者はもと税関職員である。税関の仕事は、税金といっても扱う項目が限定されているからなのか、それとも彼の不勉強のせいか、この本はからくりを暴くほどの突っ込んだ内容は書かれていない。文章は確かに極端な言葉や感情に訴えるような方法を用いているが、書いてあることは、他でも言っているごく普通の事や、場合によっては的外れで、もう少し冷静な分析がほしいところである。フランス語を勉強している暇があるなら、もう少し税金のことについて勉強したほうがいいのではないかと思う。
日本の問題点が良く分かる
日本の税制と各国のそれとを比較して税制面だけでなく日本の政治体制や将来的な改革の必要性を言い当てています。景気対策として公共事業を増やすことが良いのか減らすことが良いのか議論が分かれるように、増税が良いのか減税が良いのかは実際に実行し、少なくとも10年ほど経過しないと結論を導くことはできませんが、私自身も著者の言うように無意味な公共事業を行うのであれば、その分減税をして内需の拡大に勤めたほうが良いような気がします。ただ、著者の言う公共事業は一部の建設関連の救済であり自民党族議員の票取り手段であることは認めますが、日本には他の国では考えられない数の建設会社があり、その下の関連会社(電気設備や空調設備、什器関係を含む)を含めると従業者数は人口の一割を優に超えるのではないかと思います。それをどのように考えるべきかについては疑問が残ります。しかし、全体的には大変よくまとまった本という印象でした。
表紙に負けない、迫力ある税制批判を展開しているが・・・
本書は、新自由主義的視点から日本の税制を鋭く批判し、いわゆる「小さな政府」を実現するために、多くの具体的な改善策を提案しています。
表紙と同様に筆者もとても怒っており(笑)、今の日本を「土建国家」と揶揄したり、官僚(とくに財務省)の横暴の実態を明らかにするなど、税金に苦しめられている私たち一般市民にはとても痛快です。
また、日本の税制のみならず、諸外国の税制についてもかなり丁寧に紹介されているので、この一冊で多くのことを学ぶことができ、有益だと思います。
ただ、若干独善的で説得力に欠ける点が気になりました。
例えば、著者は相続税の廃止を提言していますが、一方で「資産家には美術館を建設したり慈善団体に寄付してもらったほうが有益」という記述があります。日本は欧米のような「寄付の文化」がそれほど根付いておらず、また儒教的精神から「家族」を重視する傾向が依然として強いように思います。そうした日本の特徴の中で、相続税を廃止し、一方で寄付を高めることが、本当にできるのでしょうか。むしろ相続税率を上げるほうが、「税金として取られるくらいなら」、と寄付精神が高まるということはないでしょうか。相続税によって所得再分配(階層固定化の防止)を促す発想を著者は「国家社会主義的発想」と批判しますが、そのことをもっと理論的に説得する必要があるように思います。
けれども、いずれにせよ、本書で日本の税制に対する問題意識を深めることができるのはまちがいないでしょう。
平野 拓也

定価: ¥ 630
人気ランキング: 106,453位
おすすめ度:

発売日: 2003-12-02
発売元: 日本経済新聞社
からくりというほどでは...著者はもと税関職員である。税関の仕事は、税金といっても扱う項目が限定されているからなのか、それとも彼の不勉強のせいか、この本はからくりを暴くほどの突っ込んだ内容は書かれていない。文章は確かに極端な言葉や感情に訴えるような方法を用いているが、書いてあることは、他でも言っているごく普通の事や、場合によっては的外れで、もう少し冷静な分析がほしいところである。フランス語を勉強している暇があるなら、もう少し税金のことについて勉強したほうがいいのではないかと思う。
日本の問題点が良く分かる日本の税制と各国のそれとを比較して税制面だけでなく日本の政治体制や将来的な改革の必要性を言い当てています。景気対策として公共事業を増やすことが良いのか減らすことが良いのか議論が分かれるように、増税が良いのか減税が良いのかは実際に実行し、少なくとも10年ほど経過しないと結論を導くことはできませんが、私自身も著者の言うように無意味な公共事業を行うのであれば、その分減税をして内需の拡大に勤めたほうが良いような気がします。ただ、著者の言う公共事業は一部の建設関連の救済であり自民党族議員の票取り手段であることは認めますが、日本には他の国では考えられない数の建設会社があり、その下の関連会社(電気設備や空調設備、什器関係を含む)を含めると従業者数は人口の一割を優に超えるのではないかと思います。それをどのように考えるべきかについては疑問が残ります。しかし、全体的には大変よくまとまった本という印象でした。
表紙に負けない、迫力ある税制批判を展開しているが・・・本書は、新自由主義的視点から日本の税制を鋭く批判し、いわゆる「小さな政府」を実現するために、多くの具体的な改善策を提案しています。
表紙と同様に筆者もとても怒っており(笑)、今の日本を「土建国家」と揶揄したり、官僚(とくに財務省)の横暴の実態を明らかにするなど、税金に苦しめられている私たち一般市民にはとても痛快です。
また、日本の税制のみならず、諸外国の税制についてもかなり丁寧に紹介されているので、この一冊で多くのことを学ぶことができ、有益だと思います。
ただ、若干独善的で説得力に欠ける点が気になりました。
例えば、著者は相続税の廃止を提言していますが、一方で「資産家には美術館を建設したり慈善団体に寄付してもらったほうが有益」という記述があります。日本は欧米のような「寄付の文化」がそれほど根付いておらず、また儒教的精神から「家族」を重視する傾向が依然として強いように思います。そうした日本の特徴の中で、相続税を廃止し、一方で寄付を高めることが、本当にできるのでしょうか。むしろ相続税率を上げるほうが、「税金として取られるくらいなら」、と寄付精神が高まるということはないでしょうか。相続税によって所得再分配(階層固定化の防止)を促す発想を著者は「国家社会主義的発想」と批判しますが、そのことをもっと理論的に説得する必要があるように思います。
けれども、いずれにせよ、本書で日本の税制に対する問題意識を深めることができるのはまちがいないでしょう。
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